高次脳機能障害 記憶障害について

今回は、高次脳機能障害の「記憶障害」について、お送りたいと思います。

記憶障害とは、新しい情報を記銘、保持し、それを必要な時に引き出すことができない状態です。

病気の前の記憶は比較的保たれていることが多いですが、病気の直前・直後のことが思い出せず、病気の後の新しい記憶がなかなか保持されません。

病気をする前のことを忘れてしまう場合もあります。

 

<症状>

・さっき言ったこと、言われたことを忘れる

・人の名前や物の名前が出てこない

・自分が何をしていたのか忘れてしまう

・新しいことが覚えられない

・何度も同じ間違いを繰り返す

・病気をする前のことを思い出せないこともあり、誤った記憶が想起される場合もある

・新しいことが憶えられないため自信がなく不安

・人との約束を守ることができない

・物事を最後までやり遂げることが難しい

・生活が繋がりにくく、習慣化しづらい

 

<周囲の対応>

・新しい情報は言葉だけでなく、視覚的(文字で示す、やって見せるなど)にも示しながら説明する

・情報を与えるときは短く簡潔に伝える

・カレンダーに印をしたり、メモを取るなどを促す

・物の置き場所を決め、毎回同じ場所に置くよう気を付ける

・憶えて欲しいことは一緒に何度もやって経験してもらう

 

<対応のポイント>

・カレンダー、スケジュール表、リスト、タイマーなどを活用してみましょう

・頻回に確認する癖をつけるため、一緒に確認を行いましょう

・新しいことを憶えてもらうときは、言葉に出したり、書いたりして、一緒に反復・復習しましょう

・暗記するよりも経験する方が記憶されやすいので、一緒に繰り返しやってみましょう

・日記を書くよう促してみましょう

 

<患者さんへのアドバイス>

・自分は記憶が低下していることを自覚して、メモを取るなどを活用しましょう

・毎日、カレンダー、スケジュール表、やることリストを確認しましょう

・憶えたいことは繰り返し行いましょう

・手順を一定にすると憶えやすいですよ

・新しいことを憶えるときは、口に出したり、書いたりして反復・復習しましょう

・必要なものは毎回同じ場所に置きましょう