高次脳機能障害 失行について

今回は、高次脳機能障害の「失行」についてお送りします。

失行とは、麻痺などの運動障害や感覚障害がなく、言われていることが理解できているにもかかわらず、

日常生活で普段行っている動作が上手くできなくなる状態です。

 

肢節運動失行、観念運動失行、観念失行、口腔顔面失行、発語失行、構成失行、着衣失行、拮抗失行など

たくさんの種類の失行があります。

 

*代表的な失行の症状*

<肢節運動失行>

 手や足の一部分の動作がぎこちなくなってしまう

(ボタンを留められない、本のページがめくれないなど)

 

<観念運動失行>

 習慣的な動作ができなくなる

(サヨナラと手を振れない、じゃんけんの手を出せない、動作の真似ができないなど)

 

<観念失行>

 日常でやり慣れた一連の動作が行えない

(お茶を入れることができない、歯ブラシに歯磨き粉をつけることができないなど)

 

<口腔顔面失行>

 口や舌を思うように動かせない

(口笛が吹けない、口や舌の動きを真似できないなど)

 

<発語失行> 

 言いたい言葉が言えない

(話し始めが出てこない、違う音が出てしまう、真似でも言えない)

 

<構成失行>

 物の構成がとらえられなくなる

(正しく模写ができない、文字の形が崩れる、積み木が上手くできないなど)

 

<着衣失行>

 身体と服との空間的な関係が把握できない

(服の上下や表裏を間違える、服をきちんと整えて着ることができないなど)

 

<拮抗失行>

 動作が拮抗してしまう

(ボタンを留めた直後に外してしまう、ふたを開けた直後に閉めてしまうなど)

 

*対応・アドバイス*

・まずは真似をするところから始めましょう

・真似でも難しい時は、知覚を十分に使って一緒にやってみましょう

・意識しすぎると余計にできなくなることがあるので、生活の中で上手く練習してみましょう

(あまり意識していないとできてしまうということがよくあります)

・慣れた場面で、自然に繰り返し行うことで、できるようになることも多いですよ

・失行を完全になくすことよりも、少しでもスムーズに行えるようになることを目標にすると良いですね