未破裂脳動脈瘤について

今週は脳梗塞や脳出血に関係のある脳の病気についてお送りしたいと思います。

今回は「未破裂脳動脈瘤について」です。

未破裂脳動脈瘤はくも膜下出血を引き起こすこともある病気です。

未破裂脳動脈瘤について一緒に学んで、くも膜下出血予防に努めましょう。

 

<未破裂脳動脈瘤とは>

脳の動脈のある部分がコブ状に膨らんだ状態を「脳動脈瘤」といいます。

「未破裂脳動脈瘤」とは、脳動脈にできたコブが破裂しないままの状態であることをいいます。

この脳動脈瘤が破裂すると、脳を包んでいる「くも膜」という膜の内側に出血を起こします。これがくも膜下出血です。

 

<未破裂脳動脈瘤ができやすいところは⁈>

動脈瘤は、一般的には血管の枝分かれした部分にできます。

血流に押される形で徐々に風船のように大きくなると考えられています。この袋が大きくなればなるほど、薄い部分ができてきて破裂すると考えられています。

 

<未破裂脳動脈瘤の種類>

一般に人口の2~6%の人が、脳動脈瘤を持っているとされています。

近年、脳ドックなどで無症状の方に脳動脈瘤が発見されることが多くなってきました。これを無症候性動脈瘤と呼びます。

脳動脈瘤が大きくなり、周囲の組織を圧迫して、頭痛や他の症状をを引き起こして発見されることもあります。こちらは症候性動脈瘤と呼びます。

 

<未破裂脳動脈瘤の症状>

・頭痛

・物が二重に見える(複視)

・視野障害

・呂律障害    などです。

破裂すると今までの経験したことのないような激しい頭痛が出現します。(くも膜下出血)

 

<未破裂脳動脈瘤の治療>

未破裂脳動脈瘤を治療することによって、くも膜下出血を予防することができます。

効果があると考えられているのは、未破裂脳動脈瘤の外科治療です。

外科的治療の主流は「クリッピング術」と「コイル塞栓術」の2つです。

治療適応については、日本脳ドック学会のガイドラインで示されています。

 

<未破裂脳動脈瘤の治療適応>

日本脳ドック学会が示しているガイドライン

1.脳動脈瘤の最大径が5ミリ前後より大きい

2.年齢が70歳以下(場合によっては70歳以上でも手術適応となることも)

3.その他の条件が手術の妨げにならない場合

 

<クリッピング術>

クリッピング術は動脈瘤の根っこ(ネック)の部分を、クリップで外側から挟み込んで、コブの中に血流が入らない状態にする治療法です。

利点は、歴史が長い治療法なので、手術を行った後の長期的な成績がわかっていることです。

欠点としては、頭の骨を開ける必要があることです。

 

<コイル塞栓術>

コイル塞栓術は、最近、急速に進歩してきた治療法で、動脈瘤の内側にコイルを詰めて、内部を血の塊(血栓)にしてしまう方法です。

利点は、頭を開ける必要がないことです。

欠点は、長期的な成績が明らかでないこと、コイルを入れた後も、内部が血栓化し、安定するまでに時間がかかる可能性があることです。