私には忘れられない言葉があります。
病院勤務をしていた時に、退院した後も会いに来てくれる患者さん何人かいらっしゃいました。
その中のお一人は、退院後、外来でのリハビリも継続されていましたが、目標であった復職が決まり、自らの意思でリハビリを卒業されました。
復職されてからも診察の度に私に会いに来てくださり、近況を教えてくださったり、日々の悩みを相談してくださっていました。
復職したらコミュニケーションで困ることが増えたこと。またリハビリを受けたいが、仕事をしていると受ける時間も受ける場所もないこと。そんな話を聞くたびに、私にできることは何かを考えさせられていました。
そんな私が病院勤務を辞めようと決意した頃、その方が会いに来てこう言ったのです。
「またリハビリを受けたいんだけど…」
私が勤務している病院では外来リハビリができない状態だったので、リハビリが受けられそうなところを調べてみますねと言うと、
「あなたがいいの。でも、無理だよね。」
と仰ったんです。申し訳なさそうに。
私は涙が出そうになりました。そして、「リハビリをしたい」ではなく「私のリハビリを受けたい」と言って下さるこの人のためにリハビリができないのなら、言語聴覚士になった意味が無いと思いました。
病院を退職したらしばらくゆっくりしたいと思っていましたが、私のリハビリを受けたいと思ってくださる方がいるのにゆっくりなんてしていられない!と、退職後、1ヵ月でオンラインリハビリ事業を始めました。
以前から、このような取り組みをしたいとのビジョンがあったので、構想を具体化して準備をどんどん進め(夫にもたくさん協力してもらい)、退職から1ヵ月で「ことリハ」第1号のこの患者様のリハビリを開始できました。
私がオンラインリハビリを始める大きなきっかけとなったのは、この方の言葉です。
いつかではなく、今始めなきゃと思わせて下さる一言でした。
また、私をオンリーワンとして認めて下さった言葉でもありました。
多くの言語聴覚士の中から「私」という人間を選んでくださったことに感謝しています。
人生は出会いで大きく変わると思います。
私は、私と出会ってくださった方、私を選んでくださった方の幸せのために何ができるかを考えています。
そして、これから出会う方の幸せのお手伝いもさせていただけたら嬉しいと想っています。
今までの出会いを大切に、これからの出会いも大切に、生きていきたいです。
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