今回は、「失語症に合併しやすい症状」についてお送りします。
失語症は様々な症状を合併することがありますので、皆さまにご理解いただけますと幸いです。
<右片麻痺>
失語症は多くの場合、脳の左半球の言語中枢やその周辺が障害されるために起こりますが、損傷の大きさによっては運動に関わる領野も損なわれ、身体の右側に麻痺を伴うことがあります。(脳の左半球を損傷すると、反対側の身体の右側に麻痺が生じます)
麻痺がみられる場所は、手、足、顔面などです。流暢性の失語症では麻痺はあまりみられません。
<右同名半盲>
脳の左半球を損傷すると右側の視野に障害が出ることがあります。右目も左目も右側の視野が狭くなる右同名半盲という症状です。
右同名半盲になると、右側にある物に気付かなかったり、ぶつかったりなどがみられ、右側から来る人や自転車、自動車などに気付かず、思わぬ事故につながることもあります。
<右半側空間失認>
脳の左半球を損傷すると目はちゃんと見えているにもかかわらず、右側に注意が向きにくくなるという右半側空間失認という症状がみられることがあります。
右同名半盲と同じく、右側の見落としや右側の物に気付きにくいのが特徴です。
書類や本の右側を読み落としたり、食事のとき右側にあるものに気付かず、食べ残したりします。
<易疲労性・注意の低下>
失語症になると、今まで何気なくやっていたコミュニケーションを取ることが困難になるため、脳への負担は大きくなり脳は疲労しやすくなります。
また、コミュニケーションを取るには、多くのことに注意を向けなければならないのですが、脳が疲れやすい状態では注意力が低下したり、集中力を保つことが難しくなります。
リハビリを続けていくと、徐々に易疲労性や注意の低下は改善してくる方が多いです。
<運動障害性構音障害>
運動障害性構音障害は、口や舌などが麻痺などにより動かしにくくなってしまったために起こる発話障害で、失語症とは違いますが、
失語症に合併することがあります。
特にブローカ失語や全失語は右顔面下部や舌の右側に麻痺を伴いやすく運動障害性構音障害を合併する方が多いです。
失語症と運動障害性構音障害を合併した場合には、それぞれに対する適切なリハビリを行うことが大切です。
<脳血管性認知症>
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などのの脳血管障害後に認知機能が低下する認知症で、失語症と脳血管性認知症を合併する方もいます。
失語症単独では認知機能の低下はみられないため、失語症の方で認知機能が低下されている場合は、脳血管性認知症を合併されている
可能性が高いと考えられます。
失語症と認知症を合併されている場合には、それぞれに対するケアが必要です。
失語症やそれ以外の症状でお困りの方は、ぜひ、ことリハにご相談下さい。
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